前書き

令和元年9月14日から16日にかけて、CtoCに挑戦してきました。
CtoCとはCoast to Coastの略で、海岸から海岸へ移動する試みです。
『ろんぐらいだぁす』の8巻から10巻にかけて江ノ島から直江津の道程が描かれています。
今回の記事ではCtoCに追加要素を加えた旅で感じたことを記述していきます。
私は彼女たちのように1日でCtoCを走破する根性はあんまり持っていませんが…。

今回の発案者は赤カメラさんです。
純粋にCtoCをするだけではなく、おまけ付きです。
すなわち「普通のCtoCに2000m級の峠が5個追加されます」
よく分からないですね!

つまりこういうことです。
image
よく分からないですね!

挑戦結果を先に述べますとこれは失敗談であり、成功談でもあります。
すなわち私は5山の峠を2山上った時点で挫折し、五大峠の走破を断念しました。
その後は観光ライドに切り替えて、無理のない日程で日本海にたどり着きました。
当初の目的を達成できなかったので失敗ですが、超楽しかったので私の中では成功でもあります。

このブログはそんな3日間のあれそれです。
以下、備忘録なのでいつも通りのアレな文体ですのでよろしくどうぞ。

参加準備

私は年に1回くらいの頻度で、公式イベント以外のロングライドをしている。
それは琵琶湖や鹿児島自走であったりキャノンボールであったりと様々である訳だが、今年はどうしようかと考えている5月にtwiplaが目に留まったのだ。

私自身はPeaksや600kmで獲得標高7,800m程度のブルベを完走している。 しかし500km弱で獲得標高が約10,000mの挑戦をしたことはなかった。
無理ではないか、いやしかし挑戦してみたら案外できるのではないかと葛藤しながらしばらく過ごし、結局申し込まないまま8月にTwitterでリツイートを見るまで忘れ去っていたのだった。

こういう時は勢いで決めないと結局やらない。
悩んでいると怠惰な自分が邪魔をすることは分かっている。
私は意を決して宿を決めた。よりによって2日間走って3日目に帰る計画で宿を取った。
その勢いでtwiplaで参加を宣言する。
結局この無計画さが失敗の第一原因となる訳だが…。

計画

まず葛藤したところは初日と二日目の峠の数である。
峠は5個あるので、アタック回数を均等に分けることができない。

初日に大河原峠をアタックして3山をクリアするルートを検討したが、その場合は夜中のダウンヒルを3回繰り返す。
しかも麦草峠の路面が整っていることは知っているが、大河原峠は路面状況が分からない上にチェックインも遅くなるし、ホテルまでの戻り行程も増えてしまう。

うん、それは避けたい。ホテルのために同じ道を戻るのは徒労である。
初日は2山のアタックにとどめて250km地点の蓼科湖のホテルを予約した。

2日目は脚力的に不安ではあるものの3山を攻めよう。
攻め切れなければ長野駅で輪行してDNFすれば良い。

長野で1泊して計3日にすれば良いではないかと考えるのが正常な思考だが、私はその時点で全く正常な思考をしていなかった。
それは何故か。
「これ、もう一日休みがあればCtoCtoC(太平洋日本海往復)行けるんじゃね?」
という天邪鬼が脳内を占めていたからだ。

1,2日目はきついが、3日目は群馬の自宅まで180kmと2000m↑程度で済むしチェックインの時間制限もない。
4日目に至っては八王子経由で江ノ島まで130kmだ。
私は日本酒を飲みながらそう思ってしまい、2日目のゴールを直江津に設定してしまったのだ。
哀れである。いっそ哀れなおじさんがここにいるのだ。
それを知らないのは本人だけである。

持ち物

持ち物の準備は以下の通りとした。

  1. 足にやさしいシューズ(新規購入)
  2. アルミホイール(新規購入)
  3. 交換用タイヤ
  4. チューブ2個
  5. タイヤレバー2本
  6. チューブパッチ
  7. タイヤブート
  8. ポンプ
  9. CO2ボンベ
  10. 1万Aバッテリー
  11. USBケーブル3本
  12. コンセント2本
  13. 2Run
  14. 粉飴ジェル
  15. 靴下
  16. 蛍光ウィンドブレーカー(長袖)
  17. 蛍光ベスト
  18. 自転車の鍵
  19. サイクルパンツ
  20. 60mlの容器2本(100均で6本購入)

これらのうちシューズとホイール以外を大型サドルバッグに押し込んで出発する。
ちなみにシューズは購入済みのものが微妙に足に合っていなかったので、この機会に増税前の買い替えを狙ったものだ。
そして決戦用カーボンホイールでは5大峠をリムブレーキで下るのが怖かったので、アルミホイールを購入した。
ホイールの購入は正解だったが、シューズは購入が遅れて実戦投入に間に合わなかった。
幸先が悪いというかまるっきり無計画さを露呈しているので、読者諸氏は今後のさらにダメな展開に期待していただきたい。

前泊

スタートは富士川河口なので、前泊は最寄りのホテルを予約した。
13日の金曜日平日の移動ではあるが、何事もなく電車で移動する。
さすがにスタート前日も自転車移動する気力および箱根を越える体力はなかった。

前橋から熱海を越えて静岡へ入るには鈍行でも半日で行ける。
青春18きっぷで鈍行輪行旅をするのも良さそうだなどと思いながら寝ていれば着く。

ただし、熱海を越えるとSuicaで自動改札機をくぐれなくなるので気をつけよう。
スタート前からリサーチ不足だってハッキリ分かんだね。(大前駅の無人改札で前科あり)
駅員さん、お手数をおかけしました。

そんなこんなで群馬は小雨の中で移動開始して、晴れ間の見える富士市に立ったのだ。
駅からホテルまで1.6kmだが、家族経営規模の小さいホテルなので自転車を畳まずに屋内において午前2時台に出すことは難しいだろうと予測した。
なので輪行袋の使用を免れないとなると、輪行解除して10分+輪行して30分と考えると1.6kmなら歩いた方が速いと判断したのだ。
むしろタクシーで移動しようかとも思ったが、駅前にタクシーはいなかった。
1kmくらい歩いたところで、ふと心に沸き上がったのは「明日の早朝というか深夜に海が見えないんだから、輪行解除して海に寄り道してからホテル行けばよかったー!」という悔悟の念であった。

それはそれとして無事ホテルに到着した。
静岡に来たなら魚介類が食べたい。
グーグル先生が教えてくれた海鮮居酒屋は、普通に歩いても迷うくらい分かりにくい脇道の奥にあった。
隠れ家的なお店であるが、雰囲気は良いしお客さんはけっこう入る。
明日はハードなので当然今日はお酒を控えるべきだが、まだ18時前…スタートまで8時間…おさかな…貝のお刺身。
嗚呼ちくしょう…竹葉(日本酒の隠語)は美味しいなぁ。

ちょい飲みしながら肴を食べて、大々的に飲めないことに後ろ髪を引かれながらホテルに帰った。
そしてコンビニで買ったパスタを食べて20時過ぎに就寝したのだった。
前泊談だけで長くなったが、山の民が海に出るとこんなテンションになることは致し方なしである。

1日目

2時に起きてコンビニで買ったおにぎりとサンドイッチを食べながらツイートしたり着替えたり輪行解除したりすると、チェックアウト時点で2時45分である。 集合は3時である。

急げ急げ!企画のRouteLabに書かれているスタートは新富士川橋を渡った先の右岸だ。
海沿いの新富士川橋は全長1.5kmを超える長さで、渡り切るにも時間がかかる。
渡り切って海岸までの道のりをに迷いながら何とか3時前に海岸へ着く。

さて、ろんつく食団で使っているお互いの位置情報を常時表示するアプリで参加者の場所を表示しよう。
ここまでダッシュで来たのでまだ見ていなかったが、どれどれ…?

左岸に集まってるーーー!!!
別に集合地点が明確に決まってはいなかったので、もっと早く位置情報を見れば良かった。
そんなこんなで左岸までダッシュして、迷いながら砂浜も走って30分遅れで私はスタート地点に降り立ったのだ。

こんなに遅れたのに参加者の赤カメラさん、はやとさんとサポートカーの湾岸の桜吹雪さんが待っていてくださった。
ありがたやー。
もしDNFすることになったらそれは私が遅れてきたのが原因です。(フラグ)

はやとさんは今日の宿が閉まってチェックインできなくなる都合から先に出発した。
赤カメラさんと私はトレインを組んで先行するはやとさんを追いかけたのだった。

トレインを組んで走ると速く走れる。
手元にGarminのサイコンがなく、道を確認しながら走っていたはやとさんに追いついたのは5kmも走らない頃だった。
3人でトレインを組むとさらにびっくりするほど快適だ。
若干の上り下りを繰り返す道なのに、誰も提案しないのに、3人で約2kmごとにローテーションを回しながらグロス25km/hを超える速度でひた走る。

3人だと足も弾むしPBPの話その他諸々で話も弾む。
たまに私がルートを読み間違えてフェイクの左折指示を出したりしながら、最初の100kmはぼっちライドより何万倍も楽しくて速い行程となった。

コンビニでガッツリ朝ごはんを補給すると、いよいよ楽しい登山の始まりである。
トラックの運ちゃんに応援されたり、なぜか田舎で大都会を歌ったり、カメラが回りだすと恥ずかしくて歌えなくなったりしながらゆっくりと大弛峠へ上るのだ。
その手前で乙女湖の琴川ダムに差し掛かって休憩し、あとはひたすら上りである。

ダムはきれいだなぁ。
富士山もきれいだなぁ。
舗装はそんなにきれいじゃないなぁ。

そんな風に上り続ける途中で、明日の新潟の宿から電話が入った。
「チェックインが22:30になってるけど、21:00までだよ。何時に着くの?」
ええと…予約サイトで23:00まで選択できました。なので到着予定をその時間にしたのですが…。という本音は心に仕舞って、ヒルクライムの途中で足を止めて交渉を進める。
結局別ルート?でCtoC中のKojiさんが新潟で同じ宿を予約してくださっていたので、Kojiさんに鍵を預かっていただくことになった。

今回の旅では度々Kojiさんの先見の明に助けていただくことになる。
まだ私はそれを予感していなかった。

それはそれとして途中の陥没で赤カメラさんが引っ掛かりパンクするも、約8分という超高速でチューブ交換完了するのにビビりながら大弛峠へ到着したのだった。
予定とほぼ同じ12時に到着し、限りなくオンスケジュールである。

さて太目のタイヤで万全なグラベル対策をしている2人(身体は細め)は北のガレ場を下り、何も対策していない細めのタイヤな私(身体は太め)はすごすごと来た道を戻るルートを選択してここでお別れとなった。

大弛峠の頂上で「じゃあ、また直江津で会いましょう」という勇気をもらうんだか正気をなくすんだか分からない挨拶とともに握手をして道を違えたのだ。 じゃあとりあえず来た道を琴川ダムまで14km戻ろうか。

ダムはきれいだなぁ。(1時間ぶり2回目)

回り道した自分は最短距離を走る2人に対して15km程度のビハインドを負いながら舗装路を走るのだが、舗装路であることを確認しながら県道や路地を駆使して組んだコースは、五大峠以外に木賊(とくさ)峠と信州峠をおかわりするアップダウンの激しい道のりだった。
下りで容赦なくコンクリートロードや裏赤城のように危険なクラックに見舞われてスピードが出せない。
こんなところでパンクしたら、プアプアハートの私は即リタイアすらあり得る。

何とか下りきったところで個人商店があったので小休止する。
大通りは通らないルートなので、小海駅までコンビニはお預けだ。

とりあえずメルヘン街道には暗くなるかならないかの時間に突入できそうだ。
メルヘン街道は道幅が広くて舗装も整っているので、今日のヒルクライムはクマった事態にならなければ問題あるまい。
そう思いながら挑んだメルヘン街道はすごくアニマルだった。
具体的に言うと上っている間に鹿2頭と目が合った。
相手は草むらの奥にいて車道に出てくる訳ではないのでこちらは特に問題ない。
それよりも草むらの深いところで物凄くガサガサしながら自分と並走する何かがいて、そっちの方がよほど怖かった。
ガサガサ音の大きさを鑑みるに、どう考えても小動物ではない。
猪鹿熊のどれだろうか。蝶不安に思いつつ引き返す算段を立てながら並走しているうちに、ガサガサ音は草むらを下って行ったのだった。

ちなみに下りでも10mほど手前を鹿が横切るアクシデントがあったが、こちらは大したことではない。
キャノボの時はイノシシがもっと目の前を横切ったので変な耐性が付いてしまったようだ。

上りで何かが並走している時に思いきりペダルを踏んだせいだろうか、峠の後半で後輪がキュッキュッと音を立てるようになった。
止まってブレーキシューの位置を確認してみたものの、その時は異常を発見できなかった。
暗くてホイールの振れも確認できない。

不安を抱いたまま麦草峠を上り切ったところで、湾岸の桜吹雪さんのサポートカーが待ってくれていた。
しかも彼は自転車のプロである。
ホイールを見てもらったところ、スポークが緩んでいるそうだ。
何それ怖い。まだ買って赤城山1回上っただけの新品なのに…いや、新品だからか。

湾岸さんはこの程度の症状ならば今回のライドは大丈夫だと保証してくれたが、正直なところ異音のするホイールで早朝から5,000mのアタックするのも、同じ宿に泊まる友人を夜中に起こすのも避けたいというのがその時の本音である。
私は理性的に判断できる存在ではないのだ。

麦草峠で心が折れかけた後、VOLT1600と1700の2灯に加えてサポートカーのハイビームで後ろから照らしてもらいながらゆっくりダウンヒルした時の安心感はすごかった。
自動車のライトは照射できる範囲が違って心底ありがたかった。
峠を下ったところでサポートカーは次のサポートに向かっていくのだった。

そうして閉店10分前のヤマザキショップに入って、お弁当おにぎりサンドイッチ惣菜ホットスナックが尽きている中で買い物を済ませて蓼科湖のホテルに入った。

お風呂に入って明日の進退を決めようとしたが、それ以前に心は決まっていた。

私は他の参加者へ五大峠DNF宣言をして、翌日2時に設定するはずのアラームを6時に設定して就寝した。
準備も、機材も、実力も、精神も不足していた私の挑戦は、こうして初日に終わりを告げたのだ。

2日目

うーふーふー、2日目は7時起床だよ!(2度寝)
雨は降ってないし、爽快な朝だー!

今日は下り基調で160kmくらいをゆっくり流すポタリングだからね。サイコーに楽しみだね!
朝一で五大峠DNF宣言もしたし、もう気分はバッチコーイ!

よーし、Googleマップでルート検索しちゃうぞー。
もちろん基本コースはR-18だよね。知ってる知ってる。
うわー!上田城址あるじゃん!
野尻湖も行ける。
決まりだ、観光だな!
ワシは観光するズラ!!

困難なミッションから解放された私の2日目は、終始こんなテンションであった。(若干誇張あり)
私は理性的に判断できる存在ではないのだ。

蓼科湖のホテルをスタートして、すぐに気づく。
あれ?ホイールから異音がしなくなってる。
もしかして五大峠もアタックできた…?

いや、いやいや。
今日は観光日と決めたばかりじゃないか。
ともあれ北上だ。快調に北上するのだ。北上さんじゃないぞ。

大門街道こと国道152号は緩やかな上りで気持ちいい。
私の脚は売り切れているから上りは笑っちゃうほど遅いがそれはそれ。

白樺湖は霧の中でツイートしていると、はやとさんから大鷲というちゃんこ料理店に向かうツイートがあった。
私がそちらに合流して「どうも、昨日ぶりですね」と言うのもネタ的に美味しいが、走行距離が30キロ以上増える上に開店待ち時間30分程ロスするので泣く泣く諦めた。

正味な話をすると今日のライドを同時並行CtoCに切り替えた理由は、直江津に18時入りして飲み屋で呑みたいという欲求も大きかった。
昼にタイムロスが多いと夜の楽しい時間が目減りしてしまうではないか!
と盛大に負け惜しみながら全力で上田城址に向かう。
そう、観光によるタイムロスは別腹である。
私は理性的に判断できる存在ではないのだ。

昼ごはんはどうしようかと考えながら走ると、上田城址の手前にいきなりステーキがあった。
まだ開店30分前なので観光を先に済ませる。
イベントがあるようで上田城址公園は非常に賑やかだった。
どうやらお米を配っているようだ。
まだ配布前であるが長い行列ができている。
私はそれを横目に見ながら、生米は食べられないというナイス判断でライスをもらわずに上田城址へ足を進めるのであった。

上田城には真田家の生活が、戦いがあった。
そして天下分け目で血を遺しながら民を生かすための苦難もあったことが、展示品から明確に分かる。
それは現代にあっても胸を突かれて息を飲むものだ。
つまり何が言いたいのかというと、ガッツリ観光したと言うことだ!

ところで2日目のポタリングコースは用意していないので、Garmin Edge 1030に住所を入力することで提示されたナビに従って走っている。
途中でよく分からない道に連れていかれたと思ったら、千曲川サイクリングロードに案内されていた。
噴水やきれいなオブジェがあってなかなか良い道だ。
途中で工事中の看板があって迂回路が表示されていないのも、迂回した先にだけ「休工中」と書かれて工事していないのも、サイクリングロードあるあるである。

そうしてサイクリングロードを堪能した末に、いきなりステーキでサーロイン400gを堪能するのであった。 とても旨いが大盛ライスも付けるととても良い盛りにもなる。 食事とツイートで1時間くらいロスしてるけれど、補給しないとハンガーをノックする羽目になるので仕方な旨い。

想定通り予定より遅いが、あとは野尻湖の手前で少し上るだけで巻き返せるはずだなどと考えはじめたので慌てて頭から追い出す。
今日は楽しいポタリングであるからして、上りが遅くとも苦しんではいけない。
上りきって下ってから上り返しがあっても泣いてはいけない。

そんなこんなで野尻湖までたどり着いたところで麦茶を1服飲みながら湖を眺める。
あと20分で遊覧船が出発する良い塩梅の時間帯であったが乗船は見送ることにした。
これで次にここへ来た時の楽しみが増えるというものだ。

その先は新潟までバイパス中心でゆるい下りの道となる。
新潟のバイパスは路側帯が広くて走りやすいし、天空の道は景色が良い。
スムーズに走って2人組をパスしたところ、後ろに付かれた。
私が先行する自動車の後ろに止まると2人組は路側帯から抜いて停止線で止まる。
そして信号が青になって抜くとまた後ろに付かれる。
何度かそれを繰り返して会話もないままに2人組と離別した。
信号待ちで挨拶して会話できれば良かったのだけど、まあ相手から見れば「アイツ、何こんな手前で止まってんの?」状態だろうから致し方ない。
さよなら、名も知らぬ人たち。御達者で。

新潟に入って絶妙な間隔で配置される信号峠にやられながら1時間以上走って、ついに私は日本海へたどり着いたのだった。
ゴール地点でKojiさんが待っていてくださった。
既にホテルのチェックインを済ませて、わざわざゴールまで来てくださったようだ。
Kojiさんがノンアルコールビールを振舞ってくださるという粋な計らいで乾杯して日本海に沈む夕日を堪能した時の感想は、今でもまざまざと思い浮かべることができる。
すなわち「あー、ノンアルの糖質うめー!」「もう山を走らなくて済むぞー!」である。

ひとしきり感動してから旅館へ案内してくれたのはKojiさん。
チェックインしてお風呂に入っている間に近くのコインランドリーまで行って洗濯してくれたのもKojiさん。
オススメの酒場を紹介してくれたのもKojiさん。
部屋飲み用のお酒を用意してくれたのもKojiさんである。
これがイケメンという存在なのか…。
このありさまの私が非リア王なのもむべなるかな。そりゃモテんわ。

ということで気遣いサッパリだけど今日の汗を流してサッパリしたキッパリ非モテの私は、イケメンと日本酒を飲むのであった。
なお走行中の2人は明日の早朝に渋峠アタックを控えているものの、概ね順調に走行できている。
このままアクシデントなく無事にゴールする願いは叶えられることになる。
機材のトラブルはもう十分であるし、飲みすぎのトラブルも1人で十分である。

すなわち!日本酒に刺身を足すと3合パワーを得る!
さらにロングライドを掛けると5合パワーだ!
地酒の銘酒で7合パワーに匹敵する力を得るぞ!
極めつけに酒豪の酒飲み相手でなんと1升パワーだぁー!

大体そんな感じですっごい飲んで、CtoC打ち上げは華やかに終わったのだった。

3日目

3日目はスーパーのんびりタイムである。
9時にチェックアウトして朝モスしながら他のメンバーの動向をうかがう簡単なおしごとだ。

14時ごろに雨の予報が出ているが、他のメンバーは12時ごろに集合して解散予定なので安心した。
そんなことより乾杯のドリンクを何にするかKojiさんと検討する方が重要事項なのは言うまでもない。
結局、先にゴールする赤カメラさんとプロテインドリンクで乾杯し、全員でノンアルコールビールの乾杯をすることにした。
若干プロテイン難民になりながらドリンクを購入して、ゴール地点で赤カメラさん、湾岸さん、そしてはやとさんと合流したのだった。

赤カメラさんとはやとさんは当初から予定していた五大峠を走破する素晴らしい結果となった。
全員が集まった昼過ぎには小雨がぱらつき始めて今にも大雨になりそうな天候であったが、サーファーが活動していることの凄さに驚くが、考えてみればこちらの方が驚かれるようなイベントの気がしないでもない。
5人でささやかなセレモニーを行い、CtoCの終わりを告げる写真と動画を撮った。
大弛峠で交わした「また直江津で会いましょう」を本当に達成できたと実感した瞬間にうるっと来たのは口外していない。

そうして全てが終わった直後に土砂降りが降ってきたので急いで退避する。
サーファーも早く切り上げていた。
車に自転車を積み込んだ後に昨日行った酒場でランチを試みたところ、あまりに行列が長いため断念した。
結局近くにある回らない寿司屋に入ったが正解だったようだ。
スマホで適当に撮った写真のシズル感がおいしさを伝えてくれる。

そうしてサポートカーに3台の自転車を積んで自宅まで帰宅した。
最後までサポートカーにはお世話になりながら、家に帰宅したところで今回のチャレンジは全て終了である。
暗い中でロードバイクを車から降ろす際に、私のやらかしでまさかホイールを取り違えて翌週にホイール交換することを、この時はまだ知らない。(完)

まとめ

初日は255km5,666m↑、2日目は162km1,258m↑と走行ルートの落差が如実に表れている。
機材トラブルがあっても他のメンバーは正規ルートで走破している点と、私は当初の計画で2日間走破ルートを書く無茶な設定をしたが、他のメンバーは3日間で走っている点が注目のポイントである。
身の丈を越えた走行計画を立てると、後半焦って速度を上げたりプレッシャーに縛られて楽しめなくなったりしてしまう。
未知の距離や獲得標高の挑戦をする時には、多少余裕を持った計画であっても蟻の一穴で瓦解する可能性がある。
これらを念頭に置いてリカバリできるようにしておこう。

さらに一言アドバイスするならば、こういうイベントに誘われた時は信頼できる相手であればあるほど参加するのが吉だ。
私のようなコミュ障は「ごめん、その日はアサガオの観察日記書くのが忙しくて」が常套句だし、開催日が近づくほど「何で参加したのか、コレガワカラナイ」となるのだが、参加した後はそのリスク以上の素敵体験ができるかもしれない。

あなたがCtoCに挑む機会は今後訪れるかもしれない。
しかしこれほど残念なことにはそうそうなるまい。 健闘を祈る!